犬・猫の腎不全について

○犬と猫の腎不全

 

 

高齢になってきた、ペット達が、お水をたくさん飲んで、おしっこをたくさんしてしまう。という相談をいくつか受けました。

この多飲多尿の原因は、いくつかの病気が、考えられます。

腎不全(尿毒症)、糖尿病、クッシング症候群、子宮蓄膿症などが、あげられます。

多飲多尿については、また、別の機会にお話するとして、今回は、その中の犬と猫の腎不全(尿毒症)について、お話したいと思います。

 

○犬と猫の腎不全とは?

○腎臓の役割りは?

○急性腎不全と慢性腎不全?

○腎不全の症状は?

○腎臓の検査には、どんなものがある?

○腎不全の治療法は?

 

 

○犬と猫の腎不全とは?

 

腎不全とは、文字通り腎臓の機能が、落ちてしまい、本当は、体の外に尿として、排泄されなければいけない毒素が、体の中に溜まってしまう状態をいいます。尿毒症とも、呼ばれています。

 

○腎臓の役割りは?

 

1.老廃物の除去

2.尿の生成

3.ホルモンの分泌

 

 

犬や猫達は、呼吸をする事や食事をする事で、体の中に老廃物が作られます。

これらの老廃物である毒素を腎臓にある糸球体というところで血液の中からこしとります。

ザルみたいなものでしょうか?

赤血球、蛋白等の分子量が大きく、体にとって必要なものは、ザルの網目みたいなものにひっかかり、血液に戻されます。

網目を通り抜けた液体には、老廃物以外に水分や電解質、ブドウ糖等、体に必要ものも含まれています。

これらは、尿細管というところで再吸収され、体に戻されます。

この過程を経て尿が、作られます。

ダメージを受けた腎臓では、糸球体の網目の部分が、詰まってしまい、体の外に排出されるはずの老廃物が、体の中に残ってしまいます。この有害な老廃物が、体に溜まり、悪影響を受けた状態を尿毒症といいます。

さらに、尿細管での再吸収も、うまくいかなくなりますので、濃縮された尿にならず、薄い尿を大量に排泄するようになります。

喉が渇くのは、尿に水分を取られすぎて、脱水をする為です。

また、腎臓からは、いくつかのホルモンが、出ています。なかでも、重要なのは、赤血球を作るホルモンの、エリスロポエチンというホルモンです。

このホルモンがないと新しい赤血球が、作られません。腎不全を起こすとこのホルモンが、作られなくなるので、腎不全による貧血が、起こってきます。

赤血球の寿命は、100日くらいなので、古いものから順に壊れていくと、新しい赤血球が、作られない場合、どんどん貧血していきます。これを非再生性貧血といいます。

 

○急性腎不全と慢性腎不全?

 

急性腎不全とは、何らかの原因で急激に腎臓が働かなくなる状態です。治療によって原因が改善されれば、腎臓の機能が回復する余地は、あります。原因としては、薬品や毒物を食べてしまった時、大量の出血や血圧の低下(ショック状態)、膀胱結石や膀胱破裂によって、排尿ができない場合等です。

 

慢性腎不全の場合は、ゆっくりと進行していくため、初期のころは、ほとんど症状がありません。お水をたくさん飲むようになったら、動物病院に相談してください。

腎臓に障害を起こすさまざまな病気が原因となりますが、多くは年をとること(加齢)と関係が、深いです。

7歳以上になると発症率が、上がりますので、注意してあげてください。

 

○腎不全の症状は?

 

第1期 腎臓機能の50%以上が、残存している無症状の状態

 

第2期   飲水量が増えて、薄い尿を大量にする。軽い貧血が起こり、少しずつ痩せてくる。

 

第3期 ヨダレが出る。口内炎を起こす。胃液や食べた物を吐く。食欲が落ちる。痩せてくる。

 

第4期 グッタリして寝てばかりいる。

吐き気や下痢を起こす。ケイレン発作が、起こる。進行すると多臓器不全となり、危険な状態となる。

 

○腎臓の検査には、どんなものがある?

 

主として、血液検査で BUN   クレアチニン リン などの数値が、上昇することで腎不全と診断します。その他、尿検査を参考にすることもあります。

腎不全は、できるだけ早く発見する事が、ポイントになります。

7歳を超えたら年に一度、10歳を超えたら半年に一度の血液検査をお勧めします。

 

○腎不全の治療法は?

 

急性腎不全の場合は、腎臓が働かなくなった原因を改善する事ができれば、腎臓の機能が回復し生命を維持できる可能性はあります。ただ、腎臓の細胞は、壊れてしまうと元には戻りません。よって、発症してから時間が経過してしまうと、手遅れになる場合があります。

一度壊れた腎臓の細胞は、元には戻りません。

 

慢性腎不全の場合は、ゆっくりと病気が進行していきます。通常、腎臓の細胞の30%が機能していれば、生命を維持していく事ができます。30%以下になった時、多飲多尿、食欲不振、元気がない、吐き気 等の症状が見られてきます。

人間のような血液透析や腎臓移植については、現在の段階では、ペットにとって、現実的に難しいとされています。

 

よって、できるだけ早く腎不全を発見して、点滴や尿毒素の吸着剤、腎臓病用の処方食を与えてもらい、少しでも、長生きしてもらう。という延命効果を目的とした治療になります。

 

当病院では、ホモトキシコロジー(ホメオパシー)を使用して、腎不全のペットを治療しています。ホモトキシコロジーには、解毒作用(デトックス作用)があるため、多くの症例で、食欲や元気の改善が見られ、さらなる延命効果が見られます。

 

腎不全と診断されたペットには、一度試してみることをお勧めします。

 

まとめ

 

腎不全は、完治が難しい病気です。

早期発見と適切な処置が、必要になります。

若い頃から、高塩分なちくわ、カニかま等の練り製品、煮干し、ジャーキー等を与え続けることも、腎不全の原因となります。

味付けの濃いものは、控えることをお勧めします。