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腫瘍(癌)について①

○腫瘍(癌)について


今回は腫瘍(癌)について、いくつかお話していきましょう。
腫瘍といっても、いろいろな種類や病気の状態があるので、何回かに分けてお話していくつもりです。

今回は、そもそも腫瘍とは?なぁ〜に?

どんな場合に様子を見ていていいの?

良性腫瘍と悪性腫瘍の違い?

悪性腫瘍の種類と呼び方?

というお話からしていきましょう。

腫瘍(癌)とは、細胞のある遺伝子が、傷つくことによって起こる病気です。
この傷ついた細胞が、異常な速さで、増えていきます。(増殖)
この異常に増殖した細胞が、塊(かたまり)になり腫瘍を形成していきます。そして、その場で大きくなって周囲に広がっていきます。
さらに血管などに入り込み、他の場所や臓器に広がっていきます。(転移)
そして、その場所で、さらに増殖していきます。
このように身体をむしばんでいきます。
このことについては、後ほど詳しく説明します。

腫瘍自体は、ペットから他のペットへ、又は、ペットから人間に移ることは、ありません。
(コロナウィルスのように感染する物では、ありません。)


○イボやしこりは、
そんなに心配は、いらない?

飼い主さん達から、よくご相談を受けるのが、皮膚にできたイボやしこりです。
7歳を過ぎてくると皮膚にイボやしこりが、できてくるワンちゃんが、たいへん多いです。
いわゆる良性(様子を見ていて良いもの)か?悪性(できるだけ早く処置をした方が良いもの)か?の簡単な見分け方をいくつかお話します。参考にしてください。

まず、発見した時の大きさです。1〜2センチの物であれば、良性のことが、多いです。悪性のものは、あっという間に大型になることが、多く見られます。

その次にイボやしこりを発見してからの成長の仕方を注意して観察してください。
発見してから、数週間から1か月くらい様子を見ていて、あまり大きくならないものであれば、良性の物が、多いです。様子を見ていて、大きくなっていくようであれば、悪性の可能性が高いので、なるべく早く、獣医さんに相談してください。

それから、堅さです。柔らかいものは、比較的良性の物が多く。堅いものは、悪性の物が、多いです。(すべての物が、そうという訳では、ないので要注意です。)

その他、引っ張ると丸く全体が触れるものは、良性の物が多く、べったり身体にくっついてしまっている物は、悪性のことが、多いです。
これらは、あくまでも目安ですし、いわゆるグレーで、微妙な場合もありますので、気になるようであれば、獣医さんに相談することをお勧めします。
確実に診断するためには、手術で腫瘍をとった後、検査センターで病理検査を行なって、調べてもらうことになります。そして初めて良性か?悪性か?を確定診断することになります。
心配される方には、検査することをご提案しています。


○悪性の腫瘍が、身体に与える悪い影響とは?

ここで、悪性の腫瘍が、ワンちゃんネコちゃんにどんな悪い影響を与えるかを説明します。

1. 悪性の腫瘍は、分裂の速度が、早いためにどんどん細胞が、増えていきます。つまり、どんどん大きくなってしまいます。
大きくなることによって、腫瘍の周りにある組織(周りの臓器)を圧迫します。
例えば、お尻の近くにできると便や尿が、出にくくなったり、腸の近くにできると食べたものが、腸の中を通りにくくなって、吐き気がでたり、食事が食べられなくなったりします。

2. 悪性の腫瘍の中には、どんどん分裂するために、その腫瘍細胞が、血液やリンパ液にのって、他の場所に移ってしまう物があります。いわゆる転移です。
そして、転移した先の場所で、また増えていきます。肺に転移してしまうことや、腫瘍の近くのリンパ節に転移してしまうことが、多いです。

3. 悪性の腫瘍は、腫瘍自身が、成長、増殖するために他の正常細胞が、摂取しようとしている栄養をどんどん奪ってしまいます。それによって身体が、衰弱していき栄養失調、いわゆる悪液質という状態になります。
この状態になると食欲や元気がなくなり、痩せて弱っていってしまいます。

これらの影響によって、どんどん体力が、消耗していき死に近づいていきます。

このような影響を起こすのが、悪性腫瘍です。
良性腫瘍は、このようなことは、ほとんど起こしません。
(絶対では、ありませんのでご注意ください。)

最近、長生きをするペットが、増えてきたために、高齢になってから、生殖器系の病気になるペットが増えています。メスは、乳腺癌、卵巣癌、子宮癌、オスは、前立腺癌や精巣癌、肛門周囲腺腫が増えています。これらは、若い時に避妊手術や去勢手術をしておけば、防ぐことのできる病気です。
繁殖目的で飼わない(子どもを産ませる予定がない)のであれば、避妊手術や去勢手術を若い時期にしてあげる事をお勧めします。
高齢になってから、苦しい思いをすることを予防できます。

○腫瘍の名称について

〜癌、〜腫、〜肉腫、といろいろな呼び方で、呼ばれるものを耳にすることと思います。これらは、すべて悪性腫瘍に属するものですが、できる場所やでき方から、少しずつ違う名で、呼ばれています。
なるべくわかりやすく簡単に説明します。

まず、上皮性腫瘍とそれ以外の非上皮性腫瘍にわけられます。
上皮性腫瘍というのは、外界と接している細胞が原因となっている場合の呼び名です。
皮膚は、もちろん、消化管と呼ばれる口から始まり、食道、胃、小腸、大腸、肛門まで、これらも、外界と接しているので、これらの場所にできた腫瘍は、〜癌と呼ばれます。(食道癌、胃癌、大腸癌など)
非上皮性腫瘍というのは、これらに含まれない場所にできた腫瘍のことをいい、これは、さらに骨や筋肉、血管などに発生する〜肉腫(骨肉腫、血管肉腫など)と血液を作る造血器に発生する〜腫(リンパ腫、骨髄腫など)にわけられます。

まとめ

今回は、比較的堅いお話でしたが、ペット達の寿命が伸びて、長生きするようになったため、腫瘍が、増えていること。そして、イボやしこりに気がついた時、むやみやたらと心配するのではなく、良性か?悪性か?を判断して、次の段階に進んでいくことが、良いと思ってください。

次回は、
比較的多く見かける良性腫瘍
 マイボーム腺腫、パピーローマ、エプーリス
そして
比較的、発生の多い悪性腫瘍
 リンパ腫、メラノーマ、乳腺腫瘍
 肥満細胞腫、扁平上皮癌

などについて、お話していきます。


余談ですが、良く飼い主さんに
「ワンちゃんが、〜癌の可能性があります。」
と私が、お話すると
「飼い主も癌の家系だから、 ワンちゃんまで〜癌になったのかしら?」と言われることが、あります。
先程も書いたように癌は、感染する物では、ありません。
ただここ最近、人間の寿命だけでなく、ワンちゃんネコちゃん達の寿命も、すごく伸びています。
たぶん それだけ、長生きしている。ということから、〜癌が増えているのだと思います。
先程のようなお家は、人間もペットも長生きな家系なのでは、ないでしょうか?

それでは、また。