犬猫に比較的多く見られる悪性腫瘍

○犬に比較的多く見られる悪性腫瘍 2

 

今回は、前回の続きとして、犬のメラノーマ、肥満細胞腫、扁平上皮癌について、お話しましょう。

 

 まず、犬のメラノーマについて、お話します。

 

 ○犬のメラノーマとは?

 ○発見と診断について

 ○ 診断後の対処について

 ○まとめ

 

○ 犬のメラノーマ(黒色肉腫)とは、主として歯ぐきや唇にできる悪性の腫瘍です。

文字通り黒く色素沈着をしていることが、特徴ですが、およそ3割程度は、メラニン色素欠乏性の黒くないメラノーマのこともあります。

悪性度がかなり高いため、非常に進行が早く、一か月でかなり大きくなってしまう場合もあります。

周りの組織には、もちろん、リンパ節や肺への転移も多くみられます。

 

○発見は、歯ぐきや唇にできものが、できたと相談に来られる方が、多いです。

以前、良性腫瘍のところで、紹介した「エプリス」に似ています。

診断についは、組織を取って、病理検査をする事をお勧めしています。

良性か?悪性か?を知っておくことは重要となります。

 

○診断後の対処については、メラノーマと診断された場合は、外科的または内科的治療かをなるべく早く決断してもらいます。

初期治療としては、外科的摘出が、第一選択となります。メラノーマを含む、できるだけ広い領域を摘出する必要が、あります。

それでも、再発や転移が、起こってしまうことが、あります。

内科的には、抗がん剤や自然療法の投与を行ないますが、

完治させることは難しく、延命治療になることが、多いです。

 

○まとめ

上記のようにメラノーマは、悪性腫瘍の中でも、かなり悪性度の高い腫瘍になります。

メラノーマと診断された時点で、完治ではなく、動物の苦痛の緩和や生存期間を少しでも伸ばしてあげる治療になると思っていてください。

よって、高齢になってから、口の中の腫瘤に気がついたら、できるだけ早く、かかりつけの動物病院に相談してください。

 

 

 肥満細胞腫

 

 ○犬の肥満細胞腫とは?

 ○発見と診断について

 ○ 診断後の対処について

 ○まとめ

 

○犬の肥満細胞腫とは、犬の皮膚や皮下に多くみられる悪性の腫瘍です。

同じ肥満細胞腫でも、手術で治ってしまう悪性度の低いものから、急激に進行する悪性度の高いものまで、いろいろなパターンがあります。

身体の中にある免疫細胞の一つである「肥満細胞」が、腫瘍化して、無制限に増殖し、皮膚や皮下にできものを形成したり、リンパ節や肺などに転移してしまう病気です。

(注:肥満細胞といっても、肥満「太り過ぎ」の原因になる細胞ではありません。)

 

○発見は、犬の皮膚または、皮下にしこりをみつけたといって、飼い主さんが、相談にこられます。診断としては、針生検、または、切除して、病理検査を行ない診断します。

 

犬の皮膚にできる肥満細胞腫は、基本的にすべて悪性です。その悪性度は、3段階(グレード分類)にわけられ、悪性度によって、必要な治療が変わってきます。

以下にまとめたものを記載します。

 

 

      悪性度    転移  

グレード1      低い    起こしにくい

グレード2      高い    起こすことあり

グレード3     非常に高い  起こしやすい

 

       再発

グレード1      起こしにくい

グレード2      起こすことあり

グレード3     起こしやすい

 

       治療

グレード1      通常手術のみ

グレード2      手術 

      状態によって

      抗がん剤、放射線療法

グレード3     手術+抗がん剤、

      状態によって放射線療法

 

 

○診断後は、グレード1 の場合は、手術で切除することをお勧めしています。

グレード2 の場合は、手術で切除することをお勧めしますが、再発や転移を起こしてしまう事があります。注意してください。

グレード3 の場合は、基本的に手術で切除して、抗がん剤や自然療法をお勧めしていますが、進行が早いため、状態をみながら相談していく形になります。

完治は、難しいです。

 

○まとめ

上記のように肥満細胞腫の場合は、グレードによって対処が、違ってきます。

基本的には、手術でとって、病理検査をして対応していくと思ってください。

グレード1 であれば、手術後 通常の生活を送ることが、できます。

グレード2又は、3の場合は、飲み薬や注射等での延命効果を期待する治療となります。

 

 

 

 扁平上皮癌

 

 ○犬の扁平上皮癌とは?

 ○発見と診断について

 ○ 診断後の対処について

 ○まとめ

 

○犬の扁平上皮癌とは、上皮細胞の一つである扁平上皮細胞が、癌化したものです。

この腫瘍は、悪性腫瘍で口腔(歯ぐき)、鼻、指、腹部、鼠径部などにできることが、多いです。

見た目は、赤く円状に硬くなったものから、潰瘍やびらん(ただれ)を伴うもの、カリフラワー状に増殖しているものなど、さまざまな形をしています。

 

○ 発見は、犬の顔や歯ぐき または、お腹にしこりをみつけたといって、飼い主さんが、相談にこられます。診断としては、針生検、または、切除して、病理検査を行ない診断します。

 

○診断後は、犬の扁平上皮癌も悪性のため、手術をして切除することが、適応となります。

他の悪性腫瘍と同様、手術をした後、再発と転移に注意をしていく。という形になります。

 

○まとめ 犬の扁平上皮癌は、いろいろな場所にさまざまな形で、できることが多いです。

気になるしこりを見つけたら、検査を受けることをお勧めします。

早めに取り除いて様子を見る。が、基本となります。